「駐車場は屋根なしでいいや、あとからカーポートを付ければ」。よくある考え方ですが、カーポートは建築物で、その屋根の面積は建ぺい率を使います。家の大きさを目いっぱい取ったあとでは、付けられないことがあります。一方で、条件を満たせば屋根の端から1m分は除けるという緩和もあります。どこまで効くのかを、条文から整理します。
カーポートも「建築物」です
建築基準法2条1号は、建築物をこう定めています。
「土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱若しくは壁を有するもの」
カーポートは、柱で支えた屋根が地面に固定されたものです。壁がなくても、屋根と柱がある時点で建築物にあたります。物置やテラス屋根も、同じ理由で建築物になることがあります。
建ぺい率に使われるのは「建築面積」
建ぺい率は、建築基準法53条で「建築物の建築面積(同一敷地内に二以上の建築物がある場合においては、その建築面積の合計)の敷地面積に対する割合」と定められています。
大事なのは「合計」の部分です。家とカーポートは別々に見るのではなく、同じ敷地の中で足し算されます。
その建築面積は、建築基準法施行令2条1項2号で、外壁または柱の中心線で囲まれた部分を上から見た面積と定められています。カーポートの場合は、屋根を真上から見た面積がそのまま効いてくると考えてください。
条件を満たせば、端から1mは除ける
ただし、同じ条文にこのただし書きがあります。
「国土交通大臣が高い開放性を有すると認めて指定する構造の建築物又はその部分については、その端から水平距離一メートル以内の部分の水平投影面積は、当該建築物の建築面積に算入しない」
この「高い開放性を有する構造」を定めているのが、平成5年6月24日の建設省告示第1437号です。次の4つを満たすものとされています。
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 一 | 外壁を有しない部分が連続して4m以上であること |
| 二 | 柱の間隔が2m以上であること |
| 三 | 天井の高さが2.1m以上であること |
| 四 | 地階を除く階数が1であること |
市販の開放的なカーポートは、この4つを満たす前提で作られているものが多くあります。ただし、横や後ろに壁(側面パネル)を付けると、一の条件から外れることがあります。風よけや目隠しのつもりで付けたパネルが、建築面積を増やしてしまうということです。
どの形が条件を満たすかを判断するのは、その土地を管轄する役所(特定行政庁)です。製品のカタログに「緩和対象」と書かれていても、最終的な確認は役所と施工会社に取ってください。
どれくらい除けるか、計算してみる
四方の端から1mずつを除くので、屋根が小さいほど緩和の効きが大きくなります。一般的な製品の大きさで計算すると、こうなります。
| カーポート | 屋根の大きさ | そのままの面積 | 緩和後の建築面積 |
|---|---|---|---|
| 1台用 | 幅2.7m×奥行5.0m | 13.5㎡ | 0.7m×3.0m=約2.1㎡ |
| 2台用(並列) | 幅5.4m×奥行5.4m | 29.2㎡ | 3.4m×3.4m=約11.6㎡ |
※ 製品の寸法は、メーカーや型によって異なります。実際の屋根の大きさで計算してください。
1台用なら約2㎡で済みますが、2台用になると約11.6㎡です。これは約3.5坪で、家の部屋ひとつ分にあたります。「屋根だから少し」では済まない大きさです。
あとから建てて、建ぺい率を超えることがある
いちばん多い失敗が、これです。
たとえば土地150㎡・建ぺい率60%の土地なら、建築面積の上限は90㎡です。
| 項目 | 面積 |
|---|---|
| 建築面積の上限(150㎡×60%) | 90.0㎡ |
| 家の建築面積 | 80.0㎡ |
| 残り | 10.0㎡ |
| 2台用カーポート(緩和後) | 約11.6㎡ → 入らない |
家を建てるときは上限ぴったりまで使えていても、カーポートの分を残しておかないと、あとから付けられません。建ててしまえば建ぺい率を超えた違反状態になり、増築や建て替えのときに問題になります。
対策は単純で、家の設計の段階で「カーポートの分」を先に取っておくことです。土地を見ている段階なら、建築面積の上限から家とカーポートの両方を引いて、足りるかを確かめておけます。
自分の場合は何坪くらいの土地が必要か、建てたい家と駐車台数から調べられます →
確認申請はいるのか
カーポートは建築物なので、原則として建築確認の手続きの対象です。ただし建築基準法6条2項に、こういう例外があります。
「前項の規定は、防火地域及び準防火地域外において建築物を増築し、改築し、又は移転しようとする場合で、その増築、改築又は移転に係る部分の床面積の合計が十平方メートル以内であるときについては、適用しない」
つまり、防火地域・準防火地域の外で、10㎡以内なら確認申請は不要です。ただし注意点が2つあります。
- 基準は「床面積」で、建築面積ではありません。壁のないカーポートの床面積をどう取るかは自治体の運用によって異なります
- 確認申請がいらなくても、建ぺい率を守る義務はなくなりません。手続きが不要になるだけで、ルール自体は適用されます
自分の土地が防火地域・準防火地域かどうかは、物件情報の「都市計画」の欄か、市区町村の都市計画課で確認できます。
固定資産税はどうなる
屋根と柱だけで壁のないカーポートは、課税の対象とならないことが多いとされています。
登記で「建物」とされる条件を、不動産登記規則111条はこう定めています。
「建物は、屋根及び周壁又はこれらに類するものを有し、土地に定着した建造物であって、その目的とする用途に供し得る状態にあるものでなければならない」
壁のないカーポートは「周壁」を持たないため、この条件にあたりません。一方、三方を壁で囲んだガレージは条件を満たすので、扱いが変わります。判断するのは自治体なので、気になる場合は市区町村の資産税担当に確認してください。
容積率には影響する?
容積率に使うのは床面積です。壁がなく柱だけで支えられたカーポートは、床面積に算入しない扱いとされることが多く、容積率にはほとんど影響しないのが一般的です。
一方、建物の中に車を入れるビルトインガレージは床面積に入ります。ただし延べ面積の5分の1までを容積率の計算から外せる規定があります。詳しくは「ビルトインガレージは容積率が緩和される?」をご覧ください。
整理すると、カーポートは建ぺい率の問題、ビルトインガレージは容積率の問題として考えると分かりやすくなります。
確認したいチェックリスト
| 確認項目 | どこで確認するか | なぜ重要か |
|---|---|---|
| 建ぺい率と土地の面積 | 物件情報 | 建築面積の上限が決まる |
| 家の建築面積 | 施工会社の図面 | カーポートに回せる残りが分かる |
| カーポートの屋根の寸法 | 製品のカタログ | 端から1mを引いて計算する |
| 側面パネルの有無 | 製品の仕様 | 壁が付くと緩和から外れることがある |
| 防火地域・準防火地域か | 物件情報の「都市計画」欄 | 確認申請の要否が変わる |
| 角地の緩和があるか | 市区町村の建築指導課 | 建ぺい率の上限が上がる場合がある |
相談先は、市区町村の建築指導課です。土地の住所とカーポートの図面を持って行けば、建築面積の取り方と確認申請の要否を教えてもらえます。
よくある質問
カーポートは建ぺい率に入りますか?
入ります。カーポートは屋根と柱を持つ建築物なので、その水平投影面積は建築面積に算入され、建ぺい率の計算に使われます(建築基準法2条1号、同法53条)。ただし建築基準法施行令2条1項2号のただし書きにより、高い開放性を有する構造として指定された形であれば、端から水平距離1m以内の部分は建築面積に算入しません。
1mを除ける条件は何ですか?
平成5年6月24日建設省告示第1437号が、外壁を有しない部分が連続して4m以上であること、柱の間隔が2m以上であること、天井の高さが2.1m以上であること、地階を除く階数が1であることの4つを定めています。市販の開放的なカーポートはこれを満たす前提で作られていることが多いですが、満たすかどうかの判断は特定行政庁が行います。
2台用のカーポートだと、建築面積はどれくらいになりますか?
屋根が幅5.4m×奥行5.4mの場合、水平投影面積は約29.2㎡ですが、四方の端から1mずつを除くと3.4m×3.4m=約11.6㎡が建築面積になります。1台用で屋根が幅2.7m×奥行5.0mなら、約13.5㎡から0.7m×3.0m=約2.1㎡に減ります。屋根が小さいほど緩和の効きが大きくなります。
カーポートを建てるのに建築確認は必要ですか?
カーポートは建築物なので、原則として建築確認の手続きの対象です。建築基準法6条2項により、防火地域および準防火地域の外で、増築に係る部分の床面積の合計が10㎡以内であれば確認申請は不要とされていますが、床面積をどう取るかの運用は自治体によって異なります。工事の前に、市区町村の建築指導課と施工会社に確認してください。
カーポートに固定資産税はかかりますか?
屋根と柱だけで壁のないカーポートは、課税の対象とならないことが多いとされています。登記で「建物」とされるには、不動産登記規則111条により屋根および周壁またはこれらに類するものを有することが必要で、壁のないカーポートはこれにあたらないためです。ただし三方を壁で囲んだガレージなどは扱いが変わります。判断は自治体が行うので、市区町村の資産税担当にご確認ください。
この記事だけで判断できますか?
できません。建築面積の算定方法、確認申請の要否、固定資産税の扱いは、カーポートの形状や敷地の条件、自治体の運用によって変わります。この記事は考え方と確認の順番を整理したものです。実際の判断は、市区町村の建築指導課、施工会社、建築士にご確認ください。
家と駐車場、両方が入るかを先に確かめる
「この土地、家は入るけどカーポートまで置けるのかな…」
契約してから気づくと、間取りを削るか、屋根をあきらめるかの二択になります。土地の情報と「延床面積・階数・駐車場」などの希望条件を入れるだけで、相性と確認すべきポイントが分かるこちらのツールをご活用ください。
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この記事を読んだ方が、次に確認していることが多い項目です。
※ 本記事は制度の一般的な考え方を整理したものです。建築面積の算定方法、確認申請の要否、固定資産税の扱いは、カーポートの形状・敷地の条件・自治体の運用によって異なります。必ず市区町村の建築指導課、施工会社、建築士にご確認ください。
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