土地の価格や広さは物件情報に書いてありますが、地盤の良し悪しは書いてありません。そして地盤改良が必要になった場合の費用は、数十万円から200万円を超えることもあります。厄介なのは、この金額が土地を買ったあとにしか確定しないことです。この記事では、買う前に無料で調べられること、調べても分からないこと、そして費用の目安を整理します。
なぜ「買う前」にこだわるのか
地盤の問題が厄介なのは、買ってからでは選び直せない点です。建物の間取りは設計で調整できますし、外構は予算に応じて減らせます。しかし地盤が軟弱だった場合、建物を建てる以上は補強を避けられません。
しかも地盤改良の費用は、土地代とは別に、建物の工事費とも別にかかります。土地と建物でぎりぎりの予算を組んでいると、この費用が丸ごとはみ出します。
だからこそ、契約前に「調べられるところまでは調べておく」ことに意味があります。すべてが分かるわけではありませんが、手がかりはいくつもあります。
買う前に、無料で調べられること
1. ハザードマップを見る
国土交通省のハザードマップポータルサイトでは、住所を入れるだけで洪水・土砂災害・高潮・津波などのリスクを地図上で確認できます。無料で、登録もいりません。
ここで注意したいのは、ハザードマップは「災害リスクの地図」であって「地盤の強さの地図」ではないということです。ただし浸水想定区域は、かつて水が集まりやすかった低い土地であることが多く、地盤を考えるうえでの手がかりにはなります。
2. 昔その場所が何だったかを見る
同じポータルサイトからは、過去の航空写真や土地の成り立ち(地形分類)も見られます。かつて田んぼ・沼・池・谷だった場所は、埋め立てられて宅地になっていることがあります。
地名がヒントになることもあります。「谷」「沢」「池」「田」「州」といった字が入る地名は、その土地の成り立ちを示している場合があります。ただしこれはあくまで傾向で、地名だけで地盤を判断することはできません。造成の方法や年代によって状況は大きく変わります。
3. 盛土か切土かを確認する
斜面を造成した宅地では、土を盛った側(盛土)と削った側(切土)で地盤の状態が異なることがあります。一般に盛土のほうが、後から沈下する可能性を考慮する必要があります。
造成に関わるルールは宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)で定められており、都道府県知事などが指定する区域内では、一定規模以上の工事に許可や届出が必要です。高低差のある土地については「高低差・擁壁がある土地、後悔する前に確認したいこと」でも解説しています。
4. 近隣の建物を見る
現地に行けるなら、周辺の擁壁やブロック塀にひび割れがないか、電柱が傾いていないか、道路に不自然な波打ちがないかを見てみてください。これらは地盤の動きの痕跡である可能性があります。専門的な判断はできませんが、「気になる点があれば必ず聞く」ための材料にはなります。
不動産会社から必ず説明されること
2020年8月28日から、宅地建物取引業法の施行規則が改正され、重要事項説明の際に水害ハザードマップを示し、その物件の位置を説明することが義務づけられました。
対象になるのは、水防法にもとづいて市町村が作成・公表している洪水・雨水出水(内水)・高潮のハザードマップです。物件がその地図の範囲に含まれている場合、宅地建物取引士から説明があります。
ただしこれは水害の話であって、地盤の強さの説明ではありません。また、説明が義務なのは「ハザードマップ上の位置」であって、災害リスクの評価そのものではない点も押さえておきたいところです。
調べても、買う前には分からないこと
正直にお伝えすると、その土地の地盤改良が必要かどうか、いくらかかるかは、地盤調査をするまで分かりません。ハザードマップも地形も過去の航空写真も、あくまで手がかりです。
そして地盤調査は、通常土地の売買契約が終わり、建物の計画が固まった段階で行われます。建物の配置が決まらないと、どこを調べればよいかが決まらないためです。つまり多くの場合、費用が確定するのは土地を買ったあとになります。
この順番はどうしても変えにくいので、現実的な備え方は「予算にあらかじめ地盤改良の可能性を見込んでおく」ことになります。
地盤調査の費用と方法
戸建て住宅で一般的に用いられるのはスクリューウエイト貫入試験(SWS試験)です。先端がねじ状の器具を地面にねじ込み、沈み方から地盤の硬さを推定する方法で、費用はおおむね5万〜20万円程度が目安です。
この試験は2020年10月のJIS改正で名称が変わっており、それ以前は「スウェーデン式サウンディング試験」と呼ばれていました。古い資料や説明で両方の名前が出てきますが、同じ試験です。
より詳細に調べる場合はボーリング調査(10万〜30万円程度が目安)が行われることもありますが、戸建てで最初から選ばれることは多くありません。
なお、建築物の基礎について建築基準法施行令は、地盤の状況に応じた構造とすることを求めています。実務上、住宅を建てる際には地盤調査を行うのが一般的です。
地盤改良が必要になった場合の費用
調査の結果、そのままでは建物を支えられないと判断された場合、地盤改良を行います。工法は地盤の状態と建物の重さによって選ばれます。
| 工法 | どんなとき | 費用の目安(30坪程度) |
|---|---|---|
| 表層改良 | 軟らかい層が浅い(2m程度まで) | 30万〜80万円 |
| 柱状改良 | 軟らかい層が2mより深い。戸建てで最も一般的 | 50万〜120万円 |
| 鋼管杭 | 軟弱な層が厚い、建物が重い(3階建てなど) | 100万〜200万円 |
これらはあくまで一般に見かける目安の幅で、確定した金額ではありません。土地の面積、建物の重さ、改良する深さ、重機が入れるかどうか(狭い土地や旗竿地では作業条件が厳しくなることがあります)によって、上下に振れます。実際の金額は必ず見積りで確認してください。
また、改良が不要と判断されれば、この費用はかかりません。「必ずかかる費用」ではないという点も、あわせて押さえておきたいところです。
確認したいチェックリスト
| 確認項目 | 何を見る | なぜ重要か |
|---|---|---|
| ハザードマップ上の位置 | 洪水・土砂災害・高潮 | 重要事項説明でも示される項目 |
| 昔の地形 | 田・沼・池・谷だったか | 造成の履歴を推測する手がかりになる |
| 盛土か切土か | 造成の方法・時期 | 沈下の可能性を考える材料になる |
| 近隣の擁壁・塀・道路 | ひび割れ・傾き・波打ち | 地盤の動きの痕跡である可能性 |
| 売主側の地盤調査データ | 過去に調査していないか | あれば買う前に判断材料が増える |
| 予算の余白 | 改良費を見込んでいるか | 確定するのが購入後になるため |
売主や近隣で過去に地盤調査を行っている場合、そのデータが残っていることがあります。「地盤調査の資料はありますか」と聞いてみる価値はあります。必ず出てくるものではありませんが、あれば大きな手がかりになります。
よくある質問
地盤改良は必ず必要になりますか?
いいえ。地盤調査の結果、そのままで建物を支えられると判断されれば、改良工事は行いません。必要かどうかは土地ごとに異なるため、事前に一律の答えはありません。
買う前に自分で地盤調査を頼めますか?
一般的ではありません。地盤調査は他人の土地に器具を入れる作業なので、売主の承諾が必要です。また建物の配置が決まらないと調べる場所も決まりません。そのため通常は、土地の購入後、建物の計画が固まった段階で行われます。
ハザードマップで安全とされていれば、地盤も安心ですか?
そうとは限りません。ハザードマップは洪水や土砂災害などのリスクを示すもので、地盤の強さを示す地図ではありません。浸水想定区域でなくても地盤改良が必要になることはありますし、その逆もあります。別の情報として扱ってください。
地盤改良の費用は誰が負担しますか?
一般的には買主の負担になります。ただし売買契約の条件によって扱いが変わることもあるため、契約前に確認してください。
この記事の内容だけで判断できますか?
できません。この記事は「買う前に何を調べられるか」「何が調べられないか」を整理したもので、特定の土地の地盤を評価するものではありません。実際の判断は、地盤調査の結果にもとづいて、建築士や施工会社にご確認ください。
「見えない費用」も含めて確認する
「この土地、地盤改良でいくらかかるんだろう…」
そんな不安、契約前に解消しておきたいですよね。知りたくなったときは、土地の情報と「延床面積・階数・駐車場」などの希望条件を入れるだけで、相性と確認すべきポイントが分かるこちらのツールをご活用ください。
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この記事を読んだ方が、次に確認していることが多い項目です。
※ 本記事は費用の一般的な目安と、確認の手順を整理したものです。実際に地盤改良が必要かどうか、いくらかかるかは、地盤調査の結果と個別の条件によって決まります。必ず建築士・施工会社・地盤調査会社にご確認ください。
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