高低差・擁壁がある土地、
後悔する前に確認したいこと

「周りより価格が安い」——その理由が高低差や擁壁にあることは珍しくありません。高低差や擁壁のある土地は、建物本体とは別に、見えにくいコストやリスクが潜んでいることがあります。この記事では、後悔する前に確認しておきたいポイントを整理します。

高低差・擁壁とは?

高低差とは、道路や隣地との間にある地面の高さの差のことです。土地が道路より高い位置にある、あるいは低い位置にあるケースがこれにあたります。

擁壁とは、高低差がある土地で土砂が崩れるのを防ぐために設ける、コンクリートなどでできた壁のことです。高低差のある土地では、土砂の崩れを防ぐために擁壁が設けられているケースがあります。ただし、すべての高低差のある土地に擁壁が必要になるわけではなく、法面(斜面のまま処理された部分)で対応している土地もあります。

なぜ価格が安く見えやすいのか

高低差や擁壁のある土地は、造成や擁壁工事の手間がかかることを織り込んで、周辺の土地より価格が抑えられていることがあります。ただし、安さの理由が、購入後にどのような形で費用として現れるのかを、事前に把握しておくことが重要です。価格だけを見て「お得」と判断するのは早計です。

一番注意したいのは「擁壁の適法性」

高低差そのものより、既存の擁壁が今のルールに適合しているかどうかが、実は一番のチェックポイントです。

擁壁の種類や規模、地域のルールによっては、建築基準法に基づく確認申請や完了後の検査済証の取得が必要になる場合があります。検査済証が残っていれば、当時その擁壁が確認・検査を受けていることを示す重要な資料になります。ただし、検査済証だけで現在の状態まですべて分かるわけではなく、その後の経年劣化や改変がないかもあわせて確認する必要があります。

一方、検査済証がない、あるいは古い擁壁で記録が残っていない場合もあります。「検査済証がない=違法」「検査済証がない=既存不適格」と決めつけられるわけではありません。当時どのような手続きで造られたのか、現在の基準に照らして問題がないかを、自治体などで確認する必要があります。

新築や建て替えを行う際には、既存擁壁が建築計画上問題ないか、現在の基準や自治体の取り扱いを確認する必要があります。擁壁の安全性や適法性を確認できない場合には、補修・補強や、場合によっては擁壁の造り替えが必要になることもあります。これは、建物の建築費とは別にかかる、まとまった追加費用になり得る部分です。

盛土規制法との関係

宅地造成及び特定盛土等規制法(通称「盛土規制法」)では、一定の切土・盛土によって崖が生じる場合などについて、擁壁の設置や排水など、安全を確保するための技術的基準が定められています。また、都道府県知事などが指定する区域内では、一定規模以上の盛土・切土などの工事に許可や届出が必要になります。

ただし、区域の指定や規制の内容は自治体によって異なり、個別の土地がどの扱いになるかは物件情報だけでは分かりません。気になる場合は、不動産会社や自治体の窓口に確認してください。

擁壁工事の費用感

擁壁を新たに造る、または作り直す場合の費用は、擁壁の高さ・長さ・構造・地盤の状況だけでなく、既存擁壁の撤去や残土処分、重機の搬入条件などによっても大きく変わります。「擁壁なら〇〇万円」と一律の金額で考えるのは危険です。気になる土地があれば、購入前に専門家へ現地を見てもらい、概算でも見積もりを取っておくことをおすすめします。

なお、造成された土地では擁壁とは別に、地盤そのものの補強が必要になることもあります。買う前にどこまで調べられるかは「地盤改良の費用はいくら?土地を買う前に調べられること」にまとめています。

それでも高低差のある土地に魅力があるケース

高低差や擁壁があるからといって、その土地を避けるべきとは限りません。次のような魅力がある場合もあります。

大切なのは、リスクと魅力の両方を把握したうえで、総額(土地代+擁壁や造成にかかる費用)で判断することです。

確認したいチェックリスト

確認項目何を見るなぜ重要か
高低差の有無・大きさ道路・隣地との差擁壁や造成の必要性に関わる
擁壁の有無有・無既存擁壁の適法性の確認が必要になる
検査済証の有無有・無当時の確認・検査の記録を確認する手がかりになる
擁壁の状態ひび割れ・傾きなど老朽化していると補修・造り替えが必要になることがある
擁壁の所有者自分・隣地・共有など補修・改修時の負担や合意が必要になる場合がある
造成・盛土の履歴分かる範囲で確認規制区域内の工事に該当するかの手がかりになる
宅地造成等工事規制区域か自治体に確認工事の許可が必要になる場合がある

建ぺい率・容積率など、あわせて確認したい項目は「この土地に家が建つか?自分で確認する方法」にまとめています。用語の意味は「土地さがしの用語集」からどうぞ。

よくある質問

擁壁のある土地は避けたほうがいいですか?

一概には言えません。擁壁が適法に造られ、状態も良好であれば、大きな問題にならないこともあります。重要なのは避けることではなく、擁壁の適法性と状態を確認したうえで判断することです。

検査済証がない擁壁は作り直しになりますか?

必ず作り直しになるわけではありません。検査済証がないことだけで、違法な擁壁や既存不適格と判断できるわけでもありません。ただし、新築・建て替えの際には、既存擁壁の安全性や適法性、自治体の取り扱いなどを確認する必要があり、状況によっては補修・補強や造り替えが必要になることもあります。個別の判断が必要なので、不動産会社や自治体の窓口、擁壁の専門家に確認してください。

擁壁工事にはどれくらい費用がかかりますか?

擁壁の高さ・長さ・素材・地盤の状況によって大きく変わるため、一律の金額は言えません。気になる土地があれば、専門家に現地を見てもらったうえで、個別に見積もりを取ることをおすすめします。

高低差のある土地のメリットはありますか?

価格が抑えられていることに加え、視線が入りにくい、眺望や日照に恵まれるといったメリットがある場合があります。ただし、これらは土地ごとの条件によって異なります。

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※ 本記事は一般的な考え方の解説です。実際の可否や費用は、地域の条例や個別の条件によって異なります。必ず不動産会社・自治体の窓口・専門家にご確認ください。
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